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第6回 【在庫】
在庫.jpg新聞によりますと上場企業が2010年上期(4月~9月)に増収・在庫減を実現していると言われております。各企業のご努力には誠に頭の下がる思いが致します。
在庫は投資回収を停滞させることになりますし、資金繰りを厳しくします。『在庫削減』が企業の大きな命題であることは当然のことでありましょう。
在庫のコントロールに関し、企業に於いて部門別等の在庫金額を指標として、コントロールされることも多いと思います。しかし、『在庫を減らせ』という指示を受けて、闇雲に、それが適正な在庫かどうかも見極めずに削減してしまうような企業も見受けられます。
本来、実行する内容は次の2つの内容があります。                  
①在庫を適正に維持する          
②在庫の適正水準を下げる
①は無駄な在庫、機能しない在庫をなくし、現行のマーケットに対する能力や管理技術水準に対して適正に在庫を維持するために統制をかけるということです。②は適正に維持された在庫に対し更に生産企画を行って実行し、水準を下げるということです。①と②が分けられないままでの推進は経験則としてはうまくいきません。
では適正とは何でしょうか?機能(目的と働き)のある在庫だけが存在するということであります。在庫は色々な目的で存在します。製品在庫を考えれば、例えば、次のような内容です。
1)販売用在庫(出荷のバラツキを考慮し、受注納品リードタイム等の納入条件を満たし、品切れ・納期遅れを起こさないための在庫)
2)販売部門の政策的な在庫(マーケットへの新製品投入初期の在庫、サービスパーツほかの義務の在庫、危機管理用としての在庫、在庫預けて使用分だけを請求する預託在庫ほか)
3)ロットギャップによる在庫(経済的な生産ロットサイズと日々の出荷量とのギャップによる在庫)
4)平準化生産による在庫(季節変動・変種変量・受注タイミングと生産能力の制約の関係で、早いタイミングで生産する。いわゆる負荷の山崩しを行った場合の在庫)
5)生産部門の政策的な在庫(協力企業の操業度維持のための先行生産による在庫。定期修理ほか計画稼働停止期間中の販売量の確保のための在庫他)
6)調達部門の政策的な在庫(例えば原料相場の安い時期に大量購入し、生産することによる在庫)
こういった目的の在庫を分け、それぞれ、どのような概念・方法で統制し、どのくらいの量を保持するのか、ロジック等を使ってその基準を持つべきでありましょう。在庫管理とは生産・販売・在庫等々を計画する部門の管理サイクル(PDCA)を上手に統制し、その遂行力を高めることに他なりません。
①の『在庫を適正に維持する』ためには部門間での調整が必要です。無駄な在庫は、各部門もしくは各部門間の連鎖のストレスの実態として現れます。それが適正以上の在庫を生むのです。生産システム全体最適解のもとで在庫基準を決め、部門間をコントロールすれば、適正な在庫を維持していくことができるでしょう。
②は『在庫の適正水準を引き下げる』というものです。つまり在庫基準を下げることが出来るように生産企画をするということです。自工場の生産能力、生産ロットサイズ、業務の仕方、受注の受け方、生産方式、在庫方式、生産分担、調達構造等々を変更・再編するというものです。この時、注意しなければいけないことが2点あります。
1つは、内部付加価値率です。内部付加価値率とは、自社工場内部で付加価値を付けている割合です。内部付加価値の低いメーカー(例えば組立系)と内部付加価率の高いメーカー(例えば装置加工系)では儲けの概念や構造が違います。従って、在庫に対する考え方も違うので、同様には成り得ません。
もう1つ注意すべき点はトレードオフです。一方が成り立てば、一方が成り立たない様を言います。在庫の適正水準を引き下げるための上述の生産企画をする各項目があります。これらはそれぞれ関連しあっています。このバランスがうまくとれている状態にしなければ、結果として在庫は減ったとしても、製造原価(例えば設備費率、労務費率等)が上昇してしまったということになってしまうかもしれません。例えば、在庫を減らすために、制約になっている生産機能の設備の保有能力を変更し(操業度や生産分担の変更、場合によっては設備投資)ラインバランスを取ってやる必要があるかもしれません。その時、製造原価、設備費率、労務費率はどうなるのか、トレードオフを見ていく必要があります。
在庫削減を行うのであれば、その対象である在庫の中身について、まずその機能等をよく認識することが必要です。そして、生産システム全体で最適解になるように論理的、科学的に考え、部門間をコントロールしていくことが必要であると考えます。
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